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「ダンス・ダンス・ダンスール(ジョージ朝倉)」裏方の大人たちの魅力(ネタバレあり)
絶賛連載中の、ジョージ朝倉「ダンス・ダンス・ダンスール」。
今、一番夢中の漫画です・・・。
以前の記事にも書きましたが、「ダンス・ダンス・ダンスール」は、クラシックバレエをやる男子たちにスポットを当てた物語。
主人公の天然素材の大天才・村尾潤平(ガラかめで言う所のマヤ)と、
サラブレッドだが愛に飢えた美男、流鶯と(ガラかめで言う所の姫川亜弓)
二人の間のお姫様的存在のバレリーナ・都(めっちゃ可愛くて性格いい)と
気位の高いツンデレバレエ女子・夏姫(私は夏姫派。夏姫と潤平にくっついて欲しい笑)などが
バレエの世界で切磋琢磨し、揺れ戸惑い、傷つき、成長して行く物語です。
ダンス・ダンス・ダンスールはこの若人たちがメインですが、裏方である教師・運営陣の人間模様もじっつに面白い。
今日はダンス・ダンス・ダンスールの裏方の大人たちについて語ります。
孤高の型破りバレエ教師・五代千鶴がイイ
都の母。
主人公の潤平の才能を最初に見つけた人であり、流鶯の叔母に当たる人。
この人、めちゃ口が悪いのだが、潤平のことも、流鶯のことも実に深く理解している。
バレリーナとしてかなり名を馳せたアーティストでもあり、いち教師にしてはヤンチャな考えや型破りなことにも理解を示す。
「おばあさま」から捨てられた自分と同じ境遇の流鶯のことを手助けし、自分では手助けできない範疇のことも切なく思っているのが伝わってくる。
そうだ、大人ってこういうものなのだ。(「現役」に対して力になってやる努力は大いに必要だが、最後は何もできないのだ。わかる、わかるよ千鶴。)
この辺は本当、ジョージの描き方が秀逸だ。
鬼の経営者の顔をもつ生川バレエ団主催:生川綾子もイイ
夏姫の母。
最初はただただ腹黒くてイヤ〜〜な感じのお芸術ババアとして登場した綾子。
しかし読み進めるにつれ、一本筋の通った真摯なバレエへの情熱、的確なジャッジ、そして経営者としての強さ、たまに見せるダンサーへの愛情(管理?)など、なるほどと思わせられる人物として描かれている。
まだ描かれていないが、おそらく綾子の現役時代はパッとしないダンサーで、こうなるまでには色々な葛藤を経ているのだろうと予想。
ダンスの才能がいまいちだった綾子と、才能に恵まれていた千鶴。
しかも千鶴の元恩師は、綾子のお母さんだった模様でこの辺も複雑な人間模様だわ〜。
その二人が教師・経営者・そして母となって、全く方向性が違うのも妙にリアルで面白い。
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クラシックバレエ(やプロスポーツ)の文献を追っている時に思うのだけれど、プレイヤーがきらめくのは本当に一瞬。
芸術の前では、人の一生は本当にあっけない。
そしてすぐに、それを受け継ぐものが現れる・・・
ということで、こういう題材で2〜3世代に及んで描かれるのは全く大げさでもドラマチックでもない、芸術を語る上である意味必要不可欠なこと・・・なのかも。
とにかく、主人格のヤングガンたちの物語はもちろん、それを取り巻くかつてのヤングガンたちの人間模様からも目が離せません。
連載はまだまだ当分楽しめそう!
(おしまい)