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評判どおり名作でした、東村アキコ「かくかくしかじか」
数年前にマンガ大賞を受賞した東村アキコさんの「かくかくしかじか」読みました。
だめだぁぁぁぁ思い出しただけで涙がでるぅぅぅぅ
面白かった。 ←陳腐な言葉しか出ないくらい良かった笑
今更語るまでもない名著ですが、軽く語らせてください。
<以下、ネタバレあります>
自分語りキャラじゃない東村アキコがなぜ自伝を描いたのか
「かくかくしかじか」は、超売れっ子漫画家・東村アキコの自伝的マンガ。
東村さんがこれまでの人生で、どのように絵を描き、漫画家になっていったのかが話の軸となっています。
「かくかくしかじか」が東村アキコさんの自伝マンガだと聞いた時、私としては何だか意外でした。
なぜなら東村さんは何となく、自分のセピア色の青春物語を描くことなど恥ずかしがるタイプな気がしたから。
でも読んでみて、なぜわざわざ彼女が「自分語り」な話を描いたのか、その理由がよくわかった。
恥ずかしさやら照れをかなぐり捨てても、東村さんにはこの漫画を描くことで対峙したいものがあったのだ。
亡くなった彼女の絵の恩師・日高先生のこと。
作品を読んでいると、日高先生のことが描きたかった、というか描かなければならない使命感のようなものが、作中の端々から伝わってきます。
若さゆえのバカさ痛さ浅さ with 人生の師
大好きで尊敬していて、だからこそこの世で一番恐ろしい存在であった、絵画教室の日高先生。
日高先生はヤクザ顔負けの暴力的な先生だけれど、その生き様に一切の裏表がなく、清流に住む岩魚のように静謐で美しく、まっすぐ。
そのまっすぐさが、大人になってごまかし上手になって汚れていく(←ある意味普通のことなんだが)作者を息苦しくさせたりする。
絵画を描き続けることをピュアに迫る先生に抗えない東村さんは、故郷の重さを振り切るように漫画に没頭、都会に染まっていきます。
一緒に展覧会をやろうという先生への返事も、余命4ヶ月だという先生に対峙することさえも「何となく」なあなあにして、先生と向き合わないまま・・・
↑私もそういうなあなあ子だから、そのダメさスゲーわかる(´・ω・`)
結果、ろくに先生と対峙しないまま今生の別れとなります。
先生が亡くなるあたりの東村さんの記憶が曖昧になっている所も含め、やけにリアル。
全編を通して、冷静に自虐的に若さゆえの自分の底の浅さクズさ、日高先生との他愛ないエピソード、先生に対する深い尊敬、関係が濃すぎるが故に抱く何とも言えない感情・・・複雑な思いをなるべく飾らず描き切っている様は秀逸です。
「人生とは」解りかけている大人こそが泣ける傑作
乱暴にまとめちゃうと、この作品自体が日高先生への愛、純粋な「人を憶う気持ち」から作られた作品だからこそ、素直に号泣できますよ。
それも、人生についてある程度わかってきた大人は大号泣必至。(むしろ若者と子どもはいまいちよく分からないかも)
最後に、先生とは関係ないけど個人的に刺さったモノローグをご紹介します♡
やっぱり大学生の頃とか20代の頃とかって
なんとなく
「すげー努力したのってちょっとカッコ悪い」
みたいのあるじゃないですか
世の中も「スポ根」とかダサいよ みたいな
そういう時代だし
まあぶっちゃけて言うと若者って
「努力してないのに成功しちゃった感」を
出したくて必死なわけじゃないですか
そういう人になりたくてたまらんわけじゃないですか
残念ながら私もそうだったんですよ!
もーね、ほんこれwwww
なんか〜、気づいたら成功しちゃってた的な〜?
なんていうことを涼しげに言っているヤツは、今後一切信用しません。
自分の恥部をさらけ出して悲劇的な喜劇に仕立て上げてまで恩師を弔った東村せんせを見習って、私も残りの人生を精一杯感満載でダサく美しく生き抜こうと意気込みを新たにしました。
オススメ。
(おしまい)