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杉本昭男著「インドで暮らす、働く、結婚する」はインド(特にバラナシ)に恋した人は必読の書!
去年、人生で初めてインドのバラナシを訪れた。
で、特にバックパッカー的素質のなかったひ弱な私は、バラナシの街の様子が全体的に信じられなかったわけですよ。
あの、ゴミ箱をひっくり返してウシを混ぜたような街並が。
ゴミとウシ↓
たたた、たすけてくれー
何度も、本気でそう思った。
道はうんこと生ゴミだらけで病原菌ヤバそうだし激烈にクサいし、車とリキシャーと人とウシが全員私をめがけて猛突進してくる(ように感じた)し。
ヒャッハーする人々。うしろにウシがいるのもポイント↓
ということで、ガイドなしでは一歩も外に出られなかったチキン野郎のわたし。しかし、夜はガイドが帰ってしまい、夕食を取らなければいけない。
おなかすいた(´;ω;`)ウッ…
極力歩かないで済む、まともそうな店を探したときに、「イーバ・カフェ」という日本人が経営するレストランを見つけた。
あまり良い写真がないのですが、ここ、素晴らしく良いカフェでした。
イーバ・カフェは、東京にあったとしても違和感のないオシャレな内装、落ち着いた空間。
紅茶の試飲コーナーもあって、丁寧に入れてくれたり。右の写真は野菜天丼。日本恋しくて涙でるほど美味しかった。
もちろんお腹もこわさなかったよ!
経営者は日本人男性の杉本昭男さんという40代の男性。
バラナシにあるバラナシ・ヒンドゥー大学で日本語教師もしているお方。
私たちがお店に行った時、ちょうど昭男さんもお店にいて、その姿を見ることができた。奥さまと子どもたちも。
インド人の奥さま、超〜キレイ!子どもたち、超〜かわいい!そして杉本さんご自身も、なんというかとてもカッコイイ男性でした。
しかしまず不思議に思うことが、「なぜ、このゴミ溜めのような街に定住しようと思ったのか?」ということ。
いや、観光にくるのはいいと思う。私もこんな有様の街を見れたのは初めてだし、いい経験だなと。でも・・・住めねぇ。
そんなところから素朴に興味がわいたのですが、なんとこの昭男さん、インドとの出会い〜生活についての本を出していらっしゃった。
前置き長くなったけど、杉本昭男著「インドで暮らす、働く、結婚する」をレビューします。
インドのインドらしさに魅せられて取り憑かれた男
全編を読んで、杉本さんという男は結局、インドの魅力に最大限に取り憑かれた人なのがわかった。
店出しちゃうくらいなので、当たり前っちゃ当たり前だけど。。。
インドは大嫌いか大好きになるかで分かれるとよく言われる。
私もインドのアホな部分やドン引きさせられる汚い部分、うるせー部分、しつこい部分など色々と最悪だなと思うところもあるが、好きか嫌いかで言ったら大好き。
杉本さんはこう書く。
日本では、将来とは常に心配すべきもの。心配をしないのはバカだ、ぐらいに考えられがちだ。僕もそうだったが、インドに来てしばらくすると気が付いた。
「あ、未来って、わざわざ不安に思わなくていいんだ。楽しみにしてていいんだ」
どうひいき目に見ても、インド人たちは、僕を含む多くの日本人と比べて不利な状況、恵まれていない状況にありながら、未来をわざわざ不安に思うなんて無駄なことはしていなかった。
そうなのよ。
私もインドのそういうところ大好き。一言でいうとアホなのかもしれないが…。しかし、アホは最強だ。
私もインドに行ってからというもの、アホさに磨きが掛かったのは良い影響だと自分では思っている。
ひどい話満載!インドの小学校の教科書がすごい。
杉本さんが紹介していたもので面白かったのが、インドの小学校の教科書の内容。
ここには要約して書きますが・・・
<白サギとカラス>
木陰で旅人が休んでいた。
うとうと眠りに落ちた旅人が、強い日差しを浴びて寝苦しそうにしている。
それを見かねた白サギが、旅人の頭上の枝にとまり、羽を広げて影をつくってあげた。白サギは暑さを我慢して影をつくり続けた。
お陰で旅人は気持ちよく眠ることができた。
そこにカラスがやってきて、旅人の顔にフンを落として飛び去って行った。
目を覚ました旅人は、頭上の白サギにむかって「顔にフンを落としやがって!」と言って、弓矢で白サギを射殺してしまったとさ。
〜教訓〜
余計な世話は焼かないようにしましょう。
すごくない!?小学校の教科書ですよ?
よく、日本の教育は、頭の良さが平均の子に水準を合わせていて、インドの教育は上位数パーセントだけわかればいいという教育だと言われるけど。(馬鹿はついてこなくてよろしいという潔さw)
だからこんなに潔いのかしら!?
キレイごとが書いていなくて、個人的には好きだけど笑。
子どもに読み聞かせるには刺激強杉ィ!!!さすがインド。
ガンジス河で泳ぐ…((((;゚Д゚)) ))ガクガクブルブル
私がバラナシで見たガンガーの水・・・それはそれは猛烈な印象だった。
事前に聞いてはいたけど、フツーに死体、流れてたしね。ウシも人も。で、隣で歯磨きとか洗濯してるっていう。確かに、あの全部がある感はすごい。
でも正直、あまり川の水には触れたくはなかった、てゆうか触れるのには全力で拒否した。
杉本さんは、汚いクサいと過剰に言うのはガンガーの女神に失礼だ、と書いている。そうだよね。ゴメン、ガンガー。でも嫌。
杉本さんは夏の間、あのガンガーで泳ぐそうです。クロールで。
・ガンガーの水はやわらかく、少しだけ粘度がある
・向こう岸には人や牛の死体が転がっていて、特に暑い時期は多い
・近くに死体があると、口に入ってきた水のにおいや味でわかる。人の死体のほうが甘い味がする
などと書いています。(´・∀・`)ヘー
うん、さすがバラナシに不動産買うだけのことはある人だわ。
だんだん杉本さんとアタシの距離が遠くなってきました。
結婚は基本、同一カースト内で。外国人との結婚は殺されても文句言えないくらい反対される・・・
最後のほうは、神秘に包まれたインドの結婚観について書かれている。興味津々!
今や、おしゃれなカフェを経営し、美しいラチタさんと結婚し子どもも生まれ、他人からみても羨ましいぜコンチクショーな理想な家族に見えた杉本一家。
しかし、この本を読んで、インド人が外国人と結婚するのは命がけだということがよくわかった。
その大変さは長くなるからここでは言い表せないが、基本的にインドの結婚とは
・一般的には親(特に父親)が結婚相手を決める。
・結婚は基本、同一カーストで行われるのが普通
・恋愛結婚はまだまだ映画の中だけ
・結婚後、女性は夫のカーストに属する(=杉本さんは外国人だからカースト外。カースト的には人間扱いされないレベル)
・インド人にとって結婚は親や親戚一同を交えた人生最大のイベント。親や親戚の意に介さない行動を取ると、監禁されたり折檻されたりすることもある。
とにかく、頑張って諦められることであれば、インド人とは結婚するもんじゃないと思わせられる。
インド人には外国人との結婚は、日本で言ったら「一族の中に殺人犯を出してしまった」くらいの衝撃なんじゃないでしょうか。
しかしさまざまな障壁を乗り越えて、最終的にはラチタさん一族にも笑顔で祝福されて結婚した杉本さんは凄い。
それもこれも、杉本さんがインド人から学んだめげなさ、楽観主義、しつこさがあったからでしょう。凄いわ。
てゆーか、そんな粘り腰で頭つかって親戚一同説得されたら、惚れてしまうわ(ポッ)。
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ということで、リアルなバラナシ生活を伺い知るにはとてもいい一冊でした、「インドで暮らす、働く、結婚する」。
皆さんにオススメというよりは、インド好き、そしてバラナシに行ったことのある人にはメチャ面白い本です。
そして、また私がバラナシに行ったら(うーん、行くかな・・・行きたくないわけじゃない。ただ勇気が湧かない)、絶対にイーバ・カフェにまた行くでしょう。
そのときに、成長した子どもたちを見るのが、将来の楽しみ♡